- 受講生インタビュー
日本とネパールの架け橋とコーチング。
4児の母、Japanese GATE Center 校長、日本語教師、共創コーチ
宮崎県生まれ、サウジアラビア育ち。大学卒業後、紆余曲折を経て単身インドへ。インド行きをきっかけに今のネパール人の夫に出会い結婚。2017年よりネパール在住。
趣味・特技はヨガ、アロマセラピー、カードリーディング。
尊敬する人はマザー・テレサ、ダライ・ラマ法王。
コーチングに興味をもったきっかけは、どういったことでしたか?
私は、もともと日本語を教える教師でした。日本に居た時から、日本語をただ教えているだけではいけないんじゃないか、という疑問を持っていました。なぜ、勉強をしなければいけないのかという事を、私は教えたいと思っていたんですね。そして、特にネパールに来てから、その想いは強くなりました。自ら日本語を学びに来ているはずなのに、スタート地点は同じであっても、よく出来る子と学びを止めてしまう子がいて、その差は何だろう?と思っていました。
学びに対するモチベーションの問題なんだろうか?そのモチベーションは、教師である私が、なにかしてあげる事なんだろうか?どうしたら、高めてあげる事ができるのだろうか?いやいや、モチベーションは学生本人の問題であって、その人の責任なんだろうか?とモヤモヤしていました。
そんな中、本田健さんのYouTube番組の中で、ジョニーさんとYOKOさんがインタビューされているのを見たんですね。ネパールでは、本田健さんの書籍がなかなか手に入らないので、YouTubeでよくチェックしていました。
そのインタビューの中で、ジョニーさんが、私のモヤモヤをすべて晴らしてくれたのです。ジョニーさんの一言一言が、私も本当にそう思う!と、感動してしまいました。私と同じことを考えている人がいる!そうか、コーチングを学んだらいいのかもしれない、この人から学べば間違いない、そう思いました。インタビューの中で、無料のコースを紹介されていたので即座に申し込み、共創コーチングで学ぶ事になったのです。
共創コーチングの学びの中で、ご自身が変わったなと思われた事はなんですか?
私は自分を表現することへの恐れというものを持っていたのですが、それが少しずつ薄れていきました。毎回の自己紹介や、養成コースでの自分のビジョンを共有する事を繰り返し話すうちに、こんなことを言ったら相手はどう思うかな?と、考えてしまうタイプでしたが、言ってもいいんだと思えるようになっていきました。みんなに肯定してもらえる事は、大きかったと思います。
例えば、提案。提案は受け取ってもらえるかどうかは、わからないものと学びました。今までなら、提案して拒否されたらどうしようと、びくびくしてなかなか出来なかったのですが、学びの中で少しづつ解放されていき、自分らしく居られる、自分を表現できる状態になっていきました。
そして、私本来の強さを出せるようにもなりました。雰囲気変わったねとも言われます。家では出来ていたのですが、学生に対して厳しい事を言ったり、そういう事が出来るようになりました。また、クライアントに対しても伝えられるようになり、「そこが良い」とフィードバックももらっています。
共創コーチングの学びについて、具体的に覚えている事はどんな事でしょうか?
色々あると思うのですが、基礎コースの「パーソナルベース」では、「マインドフルネス」「自分を整える」という話が出てきます。コーチングスキルではないので、一見、コーチングとは関係ないモノのように思いますよね。私は、ヨガをやっているので知っている事ではあったのですが、成功者には必須の知識なんだという事を、再認識しました。
そして、共創コーチングの理念が大好きです。
私は、大学生の時の就職活動が嫌でした。いかにお金を稼ぐか、という競争に見えていたんですよね。誰かと比較する、より高いサラリーを得るというような煽られる社会に思っていました。例えば、元麹町中学校の工藤勇一先生が、定期テストを無くし、みんなでテストをやらせるとクラス全体が仲良くなる、というような話を読んだ記憶があります。競争というのは、仲が悪くなる。競わせるのではなく、お互いがお互いの良いところを引き出し合いながらより良いものを創っていく「共創」という考え方に、すごく共感しています。
今現在のお仕事について、聴かせていただいてもいいですか?
日本とネパールの共同事業「ジャパニーズゲートセンター」という、日本語や日本文化を教え、日本での就職先の紹介、滞在中のサポート、ネパールに帰国してビジネスをしたい場合は、そのサポートまでを支援する事業で、主に、私は日本語教育部門を任されています。ファウンダーは夫なのですが、本業の傍ら、ネパールの社会に貢献したいという彼の思いを実現した形になりました。
実はネパールには、雇用の問題があります。ネパールの一般的な給料は低いので、日本で稼ぎたいという人がたくさんいるのですね。ネパール人の人口は3000万人弱。その内、日本にいるネパール人は約10万人以上にもなり、人口比で見てもかなり多いです。日本の外国人数ランキングでも上位に位置していますが、活躍できているネパール人はすごく少ないです。理由は、計画を立ててビジョンを持って日本に渡っていないので、きちんとした仕事に就けなかったり、問題を起こしたりしてしまう。最悪の場合、借金を抱え社会に適応できず、心身を病んで自殺してしまう人もいます。日本語や日本文化を学び、社会に適応できる状態にして、日本に送ってあげなければいけないのです。
私自身の仕事内容としては、日本語を教える事、ジャパニーズゲートセンターの管理、学生を集めるためのマーケティング、企画なども含まれます。日本語を教える事以外の仕事は、今まで経験したことがないものなので、夫に怒られながら一生懸命勉強中です(笑)。
そして、日本語を教える仕事は、大きく分けて2つあります。
一つは、ホテルマネージメント、ツーリズム、ホスピタリティに特化した大学の日本語クラスを受け持っています。今年から、1年生の必修外国語が日本語になったためです。30人×2クラスあります。この学生たちは、全員が日本への就職を目指しているわけではなく、教養科目だから学んでいる子たちです。
もう一つは、日本での就職を目指して日本語を学んでいる学生たち。5人の学生が来てくれています。今は、「宿泊」という分野の特定技能(日本の在留資格)の試験対策に、一生懸命勉強しています。余談ですが、特定技能には色々な分野がありますが、「介護」で受ける子が一番多いです。日本での需要が高いため、就職が決まりやすいのだと思います。日本の介護の人手不足という課題解決を、特定技能で補う形になっています。
この5人の内4人の学生たちは、ネパールの国立大学に併設されている日本語教室に通っている子たちで、すでに日本語の基礎が出来ています。ここは、ネパールで唯一日本語の上級まで学ぶ事のできるクラスで、古典や漢文も学ぶ、本当に日本語を勉強したい学生が在籍しているところなんですね。
多岐に渡るお仕事は大変だと思いますが、そんな中でコーチングをどのように活かされていますか?
日本語を教える教室の中で使っています。大学の必修科目として日本語を教えていますが、私は日本語を学びたいという学生にしか教えた事がなかったので、当初は戸惑いました。学生たちからしたら、日本語を学びたいのではなく、必修科目だから学んでいるわけです。授業を聴かず騒いでいる学生たちがほとんどで、クラスは崩壊していました。
そこで、なぜ学生たちは私の話を聴かないのだろうと考えました。尊敬する人や好きな人なら話を聴きたい対象となるはずなので、私は話を聴きたい相手ではないのだ、関係性がないからなんだと反省しました。
これは、コーチングを使うしかないなと考えました。共創コーチの資格の証明書を頂いたタイミングだったのもあり、学生たちに宣言をしました。「このクラスは日本語のクラスだけれど、私はコーチでもあるので、コーチングを導入します」と。初めに「ビジョンはあるのか?」と問いかけました。あまり持っていないようでした。そこで「ビジョンが無いのは、おそらく自分の事を知らないから。まず、自分の事を知ろう。強みと弱みは何だろう?」と問いかけました。学生たちは恥ずかしがって言わないので、1人づつ当てて、「この人の強みは何だろう?みんなで手伝ってあげよう」というワークをやってみました。学生たちは喜び、授業回数を重ねるごとに少しずつ私の話を聴くようになっていったんですね。徐々に静かになり、前の席に移動して、話を聴きにくる学生が増えていきました。
それでも、おしゃべりしたり携帯を見ている学生がいたんです。私にしたら大切な話をしているのに、怒りを感じました。そして、黙ったのです。すると、学生も黙りました。先生怒ってるって思ったんだと思います(笑)。「私の話を聴かないのなら、あなたたちがこのクラスを、もっと良い方法で使いなさい。」と言ったんです。クラスはしーんとなりました。「あなたたちは、なぜここに来ているのか?」とクラス全員に問うと、「勉強しに来ている」と答えました。「では、今までにどれくらい努力を費やしてきたのか?」と聴くと、50%などと答えるので、「それだけなのか?」と聴くと、今度は80%90%などと答えてくる。「あなたたちの心の中に神様がいると思うが、その神様はそのパーセンテージをくれるのか?」と聴けば、くれませんと答える。「このギャップは何なのだ?今ちゃんと勉強している子は、ちゃんとした未来が来る。いい加減にやっている子には、いい加減な未来しか来ない。目の前にあることを一所懸命やってごらん。それにこのクラスは、あなたたちのクラスなのだから、あなたたちがファシリテートして自ら勉強するように。私は手伝うだけです。先週やった授業を、あなたたちでやってください。」と言うと、2人の学生が、前に出てきてくれました。
その学生に、「授業をやってみてどうだったか」と聴いてみると、緊張したと返ってきました。「そうでしょ。30人を前にして、私だって緊張している。簡単な事ではない。私の事も理解してもらいたい。」と話すと、次のクラスから学生同士注意し合って、クラスに臨むように変わっていきました。私はこの時、前に出て上手に話せる子が少ないと気がついたんです。どんなに良い商品でも、プレゼンテーション能力がなければ伝わらない。学生たちに前に出て話をするという経験は、彼らにとって有益であると思い、みんなにそれをさせるような授業を行い、それがいいというフィードバックを学生からももらいました。
これは、日常的に家でやっている事なのです。子どもを育てるように、学生を育て向き合っています。自分の情熱を傾けられるものを見つけてほしい。それは、誰かに教えてもらうのではなく自分で見つけるしかないと思っています。ただ、自分がやりたい事をするのでは仕事にならないので、それが誰かの役に立つこと。自分の好きな事で、誰かを喜ばせる事を見つけて、たくさんの人に喜びを与える人になってもらいたい、そしてその喜びを受け取って…と、良いサイクルに入っていってもらいたいなと思っています。
これから、どんなふうになっていきたいと思っていますか?
いくつか夢があるのですが、一つは、「日本語の先生と言えば、やよい先生だよね。」「日本語を学ぶなら、ジャパニーズゲートセンターだよね。あそこに行くのが良い。」と言われるようになりたいです。
二つ目は、カトマンズからもう少し田舎へ行き、子どもたちのホームや学校を運営したり、仕事を生み出せる場所を作りたい。ネパールには8000メートル級の山々があるんです。神様を感じるような神々しい山で、それが近くに見える場所がいいですね。そこで、シングルマザーや社会的に圧迫されている人、ハンディキャップの方などを採用して、ネパールの織物産業を活かした仕事や畑で野菜を作って自給自足の暮らしをしたり。私は、ヨガや日本語、コーチングをしたり、怪我をした野良犬を助けたりね。こちらは野良犬が多く、車に轢かれる事がよくあるんです。そんなイメージを持っています。
3つ目は、私個人の仕事として、日本のお客さまにコーチングを提供したいと思っています。そのために、私という商品を売り出すための勉強も開始しました。
コーチングのお仕事について、もう少し具体的に聴かせてください。
私は、「直感」や「カードリーディング」もするので、「スピリチュアル×コーチングをネパールから」といったサービスになるかなと思っています。そして、お母さんたちが本来の強さを表現できるように、それを引き出すコーチングを目指しています。
私は、「母」とは、もっとも尊い職業の一つだと考えています。「育み」「産み」「育てる」という3つの過程があり、お腹の中に宿したところから、それはすでに始まっています。「産む」という命懸けの作業を乗り越え、命が続く限りその子を慈しみ、ガイドし、自立まで導くという、一生をかけて担う職業とも言えます。
人を育てるというのはただ事ではなく、自分自身が整っていなければ難しい事だと思うのです。でも、「そんなことは当り前で、誰でもやっている事だ。」と、男性も女性も世の中自体も、そう捉えているのではないかと思います。当たり前と思わないで欲しい。お母さんたちが日々の様々な事に圧迫されながら、自分を整えていくというのは、とても困難な事なんです。
そして、たくさんのお母さんに伝えたい事なのですが、まず自分に愛を注いでください。自分をケアしてあげる、自分に自分のやりたい事をやっていいよと許可してあげる、犠牲にならなくていいんだという事を伝えたいです。なかなか理解してもらえない事だなと、感じていますが。
私が日本にいた時、人と違う意見や疑問を投げかける事がしにくいと思っていました。日本は、調和を乱さない事を大切にする社会であり、それはある意味良い点です。しかし、それがあまりにも度を超えているようにも感じていました。例えば、学校のPTAなどは、みんながやっているからやらなきゃいけない、例年そうだからやらなきゃいけないとか。そうではなく、本当に私がやりたいことなのか?と立止まって考えてほしいのです。人と違っていいんだと許可してあげてほしいと思います。
お母さんが伸び伸びとしていたら、子どもは幸せじゃないですか。自己犠牲からの解放を手助けできるような、コーチングを目指しています。
最後に、弥生さんにとってコーチングとは?
一生お付き合いしていくものであり、大好きなものです。より良い人生のために、必要なスキル、持っておいた方が良いスキルって思っています。
最後に、この記事を読んだ方から感想など頂けたら、とっても嬉しいです。ありがとうございました。
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