• 受講生インタビュー

好きなことは変えられない

PROFILE
桑原すみれ(くわばらすみれ)

神奈川県横浜市出身。
専門学校でWEBデザインを学び、化粧品メーカー勤務を経てクリエイティブ関連の事業会社へ。
デザイナー、マーケター、ディレクターとキャリアを積み重ねながら、現在は事業の認知度向上を目的に、SNSを中心にインフルエンサーや著名人を起用したプロモーションを企画・実施。

2021年に共創コーチ®資格取得。
コーチングとWEB(開発・オンラインマーケティング・ディレクション等)の知識をかけ合わせ、オンライン集客・SNS活用・ブランディングなどのテーマを扱うのが得意。

趣味は2017年生まれの息子と一緒に遊ぶこと、ライブ・コンサート・ミュージカル鑑賞。

コーチングとの出会いを教えてください。

 初めてコーチングと出会ったのは2017年。
共創コーチでありファシリテーター・研修講師の松井美歩さんのクライアント役を引き受けたことがきっかけでした。松井さんとは以前から仕事上の長いお付き合いがあり、コーチとして、ビジネスパーソンとして、そして人としても尊敬しています。

 コーチングを学び始めるきっかけも松井さんとのセッションでした。
当時はWEB開発チームのディレクターとして、自分の強みを生かして事業や組織に価値を発揮したいと考えていました。自分のキャリアの方向性についてお話するなかで、改めて自分の強みはコミュニケーション面にありそうだと認識し、人に合わせたコミュニケーションをとる手段として、コーチングを学んでみては?と提案いただきました。

 当時10名前後の開発チームと事業部の間の立場でプロジェクトを進行していて、「チームで同じ方向性に向かっていく事の難しさ」を感じていました。
最初は自分がコーチングをできるようになるイメージがもてなかったため、学習に壁を感じましたが、コーチングの学びから仕事に活かせる気づきが生まれるかもしれない、と考え共創コーチングで学ぶ事にしました。

共創コーチングの学びの中で、印象に残っている事は何ですか?

  20207月、共創コーチングで初めに受けた基礎コースが「パーソナルベース」でした。
講座に申し込んだ当時は緊急事態宣言が終わったタイミングで、正直、私は疲れていました。リモートワークに適応しながらの業務は出社時の感覚では進まないうえに、計画の修正や緊急の対応に追われていました。仕事をしなければと焦る中、3歳の子どもは保育園に登園できず両親に遊んでほしくて家で泣いているという状況で、とても仕事とプライベートを両立できる状態ではありませんでした…。

 そんな状況で学びのスタートです。1週目で学んだことを振り返り、2週目までにやることを決め、アクションしていくPDCAサイクルを繰り返すごとに、学習が大変で疲れてしまうというより、学びながら元気になっていく、自分の自己基盤が整っていく実感がありました。

 これまで私は「仕事とプライベート」は別々のものと考えていて、どうしても仕事や育児、家庭を優先しがちで、自分自身のことは後回しになっていました。パーソナルベースを学んだおかげで、まずは自分自身に目を向け、バランスの崩れた自己基盤を整えなければと気づけたことや、自分の価値を知っている人のほうが、仕事の成果が上がる、目標達成のスピードが速くなるという考えを学べたことは大きかったです。

 もうひとつ印象に残っている事は、コーチングを実践で磨く場「ピアトレ」です。基礎コース1~2か月目ぐらいだと、コーチングフローもわからず、コーチングできると言えない状態で「ピアトレ」に参加します。ここには、コーチングの学びの進度が違う方達が参加するので、この時のフィードバックはとても役に立ちました。参加者全員が「コーチ」「クライアント」「オブザーバー」となり、コーチ役のフィードバックを返していく。例えば、「今のすすめ方だと、コーチングにはなってないね、ただ、こういうところは良かったと思う」とか、「この流れの時は、思いを深める質問をしたほうがいいんじゃないか」とか。具体的にフィードバックしてもらったことで課題が明確になり、アクションしやすくなりました。

コーチングをどのように活かしていますか?

 承認、聴く視点、質問する視点など、仕事や家庭内など日常的に役立っています。そして、人にも自分にもちょっと優しくなったかもしれません。例えば、仕事上で相談を受ける場面では、相手の話を「聴く」ようになりました。想いを広げて、目的を確認し、目的とそぐわない事はやらない。

 チームで仕事をしていると、達成できない状況も出てきます。原因がどこにあるかを確認するためにメンバーに話を聞くと、「やろうとしているのにできない」という状況も出てきます。そんな時は、まずメンバーの話を聞いて共感し「そもそもあなたは今、動きづらいことをやろうとしているんだよ」と状況を伝えるなど、コーチングでの学びを活かしたコミュニケーションをするようになりました。

 また、人事評価のための面談にも役立っています。私の会社では、等級に応じた行動要件が定義されています。それと照らし合わせながら、「こういった方針に進むと昇給やスキルアップにつながると思うけど、あなたはどう思う?」とか「その方向性は、あなたにとって、自分自身の目標達成や会社のビジョン達成につながるかな?」など確認しながらじっくりお互いの認識のすり合わせをするようになりました。

コーチになろうと思ったきっかけは、なんですか?

 普段、私はWEBディレクターとして事業の認知率向上を目的とするPR・マーケティングなどの仕事をしています。今の会社は9年目で、この役職に就くまでに、何度かジョブチェンジがありました。WEBデザイナーとして入社し、マーケターに転向しています。産休後はマーケターとして復帰、現在はWEBディレクターと、会社の期待に応じ、自分の意思で役割を変えてきました。

 私は、人生に選択肢があれば「新しい事にチャレンジできる方」を選ぶようにしています。会社からのオファーがある度に悩みますが、組織の人材配置は全体最適で決まると考えているため、結果求められる方を選んできました。

 やった事のない業務を任せてもらうからには、必死に勉強します。ビジネススクールに通ったり、社内の人に頼ったり、社外につながりをつくったり…なんとかカタチにしていくうちに、「任せた仕事はなんとかするし、成果を出せる人」と見られるようになったと思います。担当したプロジェクトでは、社内表彰も何度かされました。

 ターニングポイントは、2019年末に全社の年間MVPとして表彰されたことです。

 サプライズで表彰されたので、とても嬉しかったのですが、実は嬉しさより、苦しさが勝っていました。表彰されたことで会社の期待に応えられたことを実感できましたが、1歳児を育てながらチームに迷惑をかけないよう、この一年は本当に頑張ってきたので、「今年これだけ頑張ったのに、来年もこれ以上頑張らなくてはいけないのか?」そう思った瞬間に、周囲の人や会社からかけられる「期待」は、本当にキリがないのだと気づかされたのです。

 この表彰をきっかけに「会社は働くための舞台であり、自分自身のビジョン達成の先に、企業理念・ビジョンの実現がある」と考えるようになりました。冒頭でお話した松井さんとのセッションを経て、自分がどんな強みを持っていて、どのように成長していきたいかを考えた結果、コーチングを学び始めます。

 基礎コースを受講していた時期、ふと、会社の会議室に掲載されている企業理念が目に留まりました。これまで何度も目にしてきたのに「才能をつなぎ、世界をポジティブにする」という一行にハッとしたのです。その時、私がやりたいことはこれだ、と思いました。自分自身がどうありたいか。私にとっての答えは「コーチ」だったんです。

 何を目的に仕事をするかは人それぞれだと思いますが、会社に所属している場合、私自身がそうであったように、キャリア形成の主導権を会社に委ねがちな人が多いのではないでしょうか。自分が主役の人生だから、主導権は自分にあるし、自分が作っていくべきだと伝えていきたい。その人の才能を活かして、ポジティブに生きるための支援をしたいと思いました。

これからやっていきたい事は、どんなことですか?

 ひとつは、音楽・歌・ダンスというエンターテイメント的な才能を持っている人を支援したいと思っています。

 私は、アイドルやミュージカルなど、音楽とダンスのエンターテイメントが大好きなんです!子どもの頃からダンスやバレエをやっていて、学生時代は吹奏楽に打ち込み、10代の頃は常に「舞台に立つこと」が目標にありました。メンバーに選ばれるために練習を頑張る、オーディションに勝ち残る、県大会で金賞を取るために頑張る、県大会の次は地区大会、その次は全国へ…。たった数分の本番のために、目標に向かって練習を重ねる事が当たり前の毎日でした。

 エンターテイメント業界を目指す子たちは、10代が多いです。私自身もそうだったのですが、子どもだから「こうなりたい」「こうしたい」という思いを、親や友達に素直に伝える事が結構難しい。そういうことができるようなコミュニケーションを、コーチングによって支援したいと思います。

 好きなものを好きって言うのは、結構勇気がいることです。「自分の好きなものは、変わらない」という事を、私は、自己基盤を学んでよくわかりました。「好きなものはずっと好きでいていい」「他の人に合わせる必要もない」事を伝えたいです。今はグローバルな活躍を目標にする子も多いので、いずれは英語や韓国語でもコーチングできるようになりたいですね。

 もうひとつは、役職に限らず、社内の問題解決にコーチングを活かす事。リーダー向けの1on1コーチング、グループコーチングなど、社内の実績を積んでいこうと考えています。2021年に社内でリーダー向けの1on1コーチングをした時は、とても役に立ったと評価をもらえたので、継続して行おうと計画中です。社内の実績、現在受けている個人セッションの実績をさらに積んで、それを基に夢に向かって売り込みをしていこうと思っています。

 それからメンバー向けには、自分がどうありたいかに意識を向けたキャリアデザインを支援したいです。ただ、若いメンバーにとっては自分の担当業務で成果を出すことがまず求められますよね。目標を達成したいけれど、動きにくさを感じたときに、気軽に相談できる存在でありたいと考えています。

あなたにとって「コーチ」とは、どういうものですか?

 自分でなりたくて選んだ職業。なりたい自分になろうと、実現した結果です。

 なりたい自分にストップをかける必要も無い、自分がそれにふさわしいかどうかなんて、気にしなくていい。なりたい姿を目指すのに、いくつになっても遅くないし、出来るし、やっていい。これを、コーチングを受ける前の私に、そして夢に向かって走り出そうとしている若い子たちに伝えたいです。

 養成コースに進むとき、本当に私コーチになりたいのかな?私がコーチングをしていいのだろうか?私はコーチにふさわしいのか?と、かなり悩んだんです。それでも資格取得を目指そうと決めたのは、私の価値であるコミュニケーション能力を伸ばしたい、コーチングが楽しい、もっと学びたい!という自分の素直な気持ちを大事にしたかったからです。役に立つかどうか?今後活かせるどうか?と先のことを考えてしまうタイプでしたが、先のことばかり気にしても、コロナ禍で今できる事は限られている。今、できることから選ぼう、と考え方も変わっていったように思います。

 「将来身になるかどうかわからないけれど、やってみよう!」と自分で選択した事で、自分の軸になる職業、役割としてコーチをつかめたのはとても幸せなことだと思っています。