- 受講生インタビュー
コンサルとコーチングの両立を目指して
1960年生まれ、愛知県出身。外資系広告代理店においてゼネラルマネジャーとして市場分析・販促計画・メディアプラニング・クリエイティブなど、広範囲にわたる企業戦略提案を担当してきました。
1996年に、中小企業診断士の資格を取得。日々の業務において、コンサルタントとしての視点を活かした活動を行ってきました。
また、2019年には、共創コーチングシステムズの共創コーチとなり、「気づきを活かすことで自己目標を達成するコーチング」を目指してきました。新商品の販促計画や新分野開拓などにお悩みの企業に対し、長年にわたる豊富な広告・広報実務の経験を活かし、クライアント様の自らの気づきにより共に未来を創りだす「ビジネスチューター」として活躍しています。
経済産業大臣登録 中小企業診断士(1996年/平成8年)
ICF(国際コーチング連盟)認定校 共創コーチ(2019年/令和元年)
ICF(国際コーチング連盟)ACC(2021年4月)
コーチングを学ぶ事になった、きっかけは何でしたか?
今から、8年ほど前の事です。とある会合で、ジョニーさんとご一緒する機会がありました。それからしばらくして、その時勤めていた広告代理店で講演を担当する事になり、ジョニーさんにお願いする事になりました。気持ちよく、講演を引き受けてくださって、おかげさまで盛況の内に終わらせることが出来ました。
その後、共創コーチングの半日セミナーを受けるのですが、偶然にも、広告代理店時代に担当していたお客様が参加されていて、驚きました。この方は、すでに何度かセミナーに参加されていたようで、「コーチングは、すごくいいよ。」と言っておられました。これが、共創コーチングで学び始めるきっかけだったように思います。
共創コーチングを学び始めて、印象に残っていることは、どんな事ですか?
共創コーチングを学び始めた頃は、まだ広告代理店のジェネラルマネージャーとして営業をしていました。広告代理店の営業職というのは、仕事優先、お客様優先になりがちなので、なかなか自分の学びの時間を作り出すのが大変でした。それでも、なんとか講義について行きながら学ぶ事ができました。本当に、よくやったと思います。
僕は営業職なのですが、恥ずかしながら、すごい人見知りをするんです。今のようにZOOMの画面越しではなく、当時はまだ対面での講座だったので、人前でロールプレイをしなくちゃいけない。これが本当にプレッシャーでした。やっていけるのか?どうなんだろう?って正直思ったのですけど、ジョニーさんやYOKOさんと何度もお会いしていたので、なんとかやってこれました。
コーチングを学んで、最初にどんな変化がありましたか?
僕は、営業を34年間やってきています。長くやっていると、自分の営業スタイルというのが出来てくるんですよね。自分の考え通りに物事を進めていく。今思えば、あまり周りのことに意識を向けていなかったと思います。そしてそれは、部下や他の営業も同じように考えているだろうと思っていました。つまり、「周りからとやかく言われるのは嫌だろう」と思っていたということです。
お客様に対しては、コミュニケーションをしっかりとっていました。話はしっかり聴けるのです。しかし、僕は、社内に対してあるいは部下たちに任せっきり。社内の話は、ぜんぜん聴けていない事に気が付きました。基礎コースで学び始めて、「あれ、これはちょっと違うな…」と。若い部下たちは、僕のところに話に来ない。年配の人は構えてしまって、対話にならない。「責任は持つから思うようにやれ」は、そのころの姿勢でしたが、それはとても不親切で、その人のためでもなく、自分の責任も果たしていないと気づかされました。
「任せるということ」と「放任」とは全然違う。任せるってことが、僕の場合は放任だったような気がします。その時は、自分の営業姿勢について間違っていることに気づきましたが、なかなか変更することができませんでした。
だから、コーチングの学びは衝撃でした。営業として「聴く」必要性は感じていましたが、承認の大切さや気づきの重要性、そしてフィードバックや提案のタイミングや出し方がある事は、新鮮でした。今なら、一緒に仕事を取り組んで、部下や相手に主体性を渡してやっていこうと思います。素直に話を聴く事もできる。
基礎コースで、特に学んでよかったものはどこですか?
特にコミュニケーションとリレーションシップ。「聴く事」と「質問する事」が、こんなに大事だったんだってことに気が付きました。今までの自分にはなかったものだったんです。今でこそ、1on1ミーティングや怒りに対するアンガーマネジメントなんてありますけど。営業だから、いろいろな情報を取集してくることがとても必要な事だと知っているので、すごく聴くんですよね。情報量の差が、営業としての勝負を決めるからです。ところが、社内のコミュニケーションは足りていなかった。上司、同僚、部下へと説明が上手くできていなかった気がします。
自分の部下に対しても、やっていかなければならないんだってことがわかったのは、一番大きかったですね。聴く事が出来るようになると、相手が話を聴いてくれているなということも、わかるようになっていきました。
そして、講座の中で学んだコミュニケーションのタイプは、役に立ちました。相手がコントローラータイプだから、押し付けてくるんだろうなぁとか。アナライザータイプだから、数字でせめてくるだろうから、きちんとやっていかなくちゃいけないだろうなとか。先が読めるようになって、お互いの着地点、解決策を見つけていく、納得して仕事がしやすくなるようなところに落ち着かせていくなど、そういうことが身に付きました。
実は、基礎コースの中で、僕が一番初めに受けたのが「リードトゥゴール」だったんです。コーチングの本も読んでいなかったから、予備知識もなく、これが本当に難しかった。僕には難しすぎるって思いました。基礎コースの4回が終わった後、もう一度リードトゥゴールを受けたんです。これは、すごく新鮮でした(笑)。当然なのですが、1回目より2回目のほうが、よく理解できました。2回目を受けて、本当に良かったなぁ。
コーチングセッションでのエピソードがあれば、教えてください。
コーチの資格取得のために、コーチングセッションを色々させていただいていました。今でもやらせていただいているんですけれども。その過程で、気が付いた事がありました。
コーチングセッションを受けてくれた方々は、僕の仕事関係の方が多かったです。普段接している様子ではわからないのですが、職種的に「考え込んでしまうタイプ」が多かったんですね。
セッションの中でしっかり話を聴いていくと、冷静に違う視点や分析をされる事が新鮮だったようです。全ての人が、自分の中でしっかり考え物事を決めていくわけではなく、実際はどうしたらいいのかわからないなりに、今の自分の考えの中では、これがベストだと思って突っ走っている。そこに、セッションを通して違う視点や見方をされると、パッと、ものすごい勢いで気が付いて行くんですね。そうやって、すごく喜んでくださっていました。
子どもの指導をしている方がいて、どうしたら上手くいくのだろうという話だったのですが、「子ども達の眼からは、どう見えているのでしょうか?」と投げかけたら、興味をもって答えてくれました。結局、もう一歩、自分から手を広げてあげなければいけなかったんだと、言われました。自分がしているのと逆の立場から、見方を変えて、受けている人の目線に立った時、「もう一歩、前に踏み出さないといけなかったな」ということに気づかれたんです。そんな風に、目の前の方が気づかれていくっていうのは、すごくうれしい事です。
今現在は、コーチングを仕事にどう活かしていますか?
現在は広告代理店を退社して、僕は経営コンサルタント、中小企業診断士、共創コーチング、国際コーチ連盟認定コーチ(ACC)として独立しています。
今はコーチとしての仕事より、経営コンサルタントとしての仕事のほうが、比重は大きいです。経営が難しくなってきた企業の立て直しをする事を目的としているもので、「事業再生」という仕事です。この仕事は、経営者の覚悟が必要なんです。中小企業の事業再生って、経営が危うくなってきているものを立て直していかなくてはならない。これには、相当の覚悟がいるんです。この気持ちがしっかりしていないと、また同じことが起こってしまうのですね。企業として成り立ちませんよという話なのです。経営者ご本人が、どれだけ納得してやっていけるのかが、大切なのです。
コーチングのスキルを使って、気づきを促し、一緒になって伴走していく。再生に向けて走っていくのですが、ただそうはいっても、徹底して気づいているか、納得していなければ、一緒に進んでいっても、途中で挫折してしまったら立ち直れない場合も出てきます。だから、本当に理解してますか?わかっていますね?もしわかっていないのだったら、もう一度、私たち中小企業診断士みんなで考えましょうとやります。こちらも真剣です。
最後には、再生のための答えを持って、教えなければならない事も出てきます。そこは、コーチングではなく、コンサルとして向き合わなければなりません。そのすみ分けも意識してやっています。
それだけでなく、再生のためには、クライアントである経営者の方の話を、しっかり聴く必要があります。中小企業診断士の仲間には、コーチングを身につけている方がたくさんいます。だから、僕が特段突出しているわけではありませんが、クライアントのヒアリングについては、定評があります。そこは、コーチングの「聴く」「質問」というノウハウを活かせている部分だと思います。僕にとっては、「質問」のスキルは財産です。
今後どのように、コーチングを活かしていきたいですか?
独立して1年程なので今はまだ出来ていませんが、経営コンサルタントとは別に、ビジネスコーチングもやっていきたいと思っています。社員のマインドを支援したり、将来設計に向けてコーチングを導入していく企業と繋がり、コンサルとコーチングの二つの柱を持つ会社にしていきたい。事業再生というコンサルでは、覚悟を必要とする企業。ビジネスコーチングでは、より良い経営を目指す企業を支援していきたいと考えています。
ありがたいことに、僕には3つの異なる視点があります。広告代理店時代に得た世界市場や国内市場を見渡す広い視界を培うことができました。中小企業診断士としての企業を見極める視野を持っています。そして、共創コーチ・国際コーチ連盟認定コーチとして、人の行動や心にフォーカスする視点もあります。まだまだ、たくさん学ばなければならない事もたくさんありますが、この3つの視点をビジネスコーチングに活かしていく事を目指しています。今は、自分なりのやり方で、自分なりの答えをだすために、暗中模索しています。
最後に、どんな人にコーチングを勧めたいですか?
僕は、コミュニケーションに対して疑問を持っている人、向上心のある人には、勧めたいです。もう少し話が聴けるようになりたいとか、話下手だなという方。人見知りが激しい方。僕がそうだったからです。僕は、面倒くさがり屋だと思われていたんですけど、本当はそうではなく、もっと人とコミュニケーションを取る事ができれば、面白いし楽しい事だと思います。そういう意味で、コーチングは勧めたい。
みんなと上手に会話が出来て、上手に話が聴けて、問題が見つけられたらいいなって思います。一緒に同じ方向を向いていれば、理想ですね。同じ方向を向いているかどうか、クライアントが見ているか、自分も見ているか、それを自分で気づけることだと思います。