• 受講生インタビュー

世界中の人が幸せになるために~私のできる貢献~

PROFILE
プロフェッショナルコーチ / 弁護士
中原 阿里(なかはらあり)

関西学院大学大学院司法研究科修了、奈良女子大学文学部英文科卒業、大阪大学大学院臨床心理学科科目等履修生
広告代理店・社長秘書・大学病院医事課勤務等を経て、生死との向き合いから社会的な痛みを無くし「ひとりひとりの幸福」のために司法試験へ。2010年弁護士登録。
弁護士業10年を超え,多数の企業・個人案件と弁護士法人共同経営の経験を経て,「法律の勝ち負けと幸福度は相関性が無い」と痛感。経営を通じた幸福とエンゲージメントにフォーカスすべくMBA受講。共創コーチング®の資格を取得、その他国内外で複数のコーチング資格を取得。
ビジネスコーチングだけでなく心理学・幸福学の専門領域を横断し 自己理解を深め感情知性を高めるエグゼクティブコーチングを提供(紹介のみ)。企業向けコミュニケーション研修・社内コーチ養成講座も提供。
【他の保有資格】国際コーチ連盟認定プロフェッショナルサーティファイドコーチ(ICF/PCC) 米Gallup社公認strengthコーチ  行動心理士 上級心理カウンセラー  NLPプラクティショナー 関西マインドフルネス協会認定トレーナー  交流分析カウンセラー  Google@SIYコアプログラム修了

コーチングにはどんなきっかけで出会ったのですか?

最初は、コーチングを学ぼうとしたわけではなかったんです。

弁護士になる前はいろいろな仕事をしており、大学病院の事務をしていた時の経験が影響しています。生きることは本当に大変だと感じたのです。小さい子供が事件で命を失い司法解剖となったり、臓器移植などさまざまな場面がありました。また、医療費を払えない人も多く、医療的な側面だけでなく、どうやって病気を抱えて生きるかという社会的な側面で、支え合う社会が必要だと思いました。そして、自分もなんとか人の幸せの力になれたらという思いで弁護士になりました。

弁護士になって12年目ですが、この間、「法的に勝っても人は幸せになるわけではない」ということを痛感しました。すべては心の在り方です。人の幸せのために弁護士になったのに、法的な側面だけでは足りないと感じたのは大きいことでした。そして、大学院で心理学を学んでいたこともあり、もう一度真剣に心を学ぼうと決めました。その後、さまざまな心理学やカウンセリング、NLPなど学びを進める中で、そういうものをひとまとめにして、目の前の人に役に立てる形の一つがコーチングだと思うようになりました。

複数のスクールでコーチングを学ぶことは、学ぶならとことん学ぶ、という私の性格からして当たり前のことでした。いろいろなスクールがありましたが、共創コーチ®︎養成スクールがACTPの認定校だったこと、様々な流派から離れてニュートラルなコーチングを学べるという印象をもったこと、開講日が近かったことなどから入学を決めました。

共創コーチ®︎養成スクールの特徴は何だと感じましたか?

まず、主宰者であるジョニーさんと陽子さんはプロのお二人が責任をもって運営しているということがよく伝わってきました。ジョニーさんは教育、陽子さんは経営の世界でプロのコーチとして経験をそれぞれに重ねておられ、具体例や説明がその専門性に基づいていました。

共創コーチングに来ている人たちは皆、ジョニーさんや陽子さん、あの場が好きだと思います。好きだから、学びが続くのだと思います。参加されている方は熱心で、会社の経費負担ではなく、自費で通っている方も多かったと思います。参加者同士のコミュニケーションも多くて、今もその交流は財産です。なにげないやりとりでも、お互いにコーチングを学んでいるので、相手の反応や自分の心の動きを客観的に見るなど、すべての時間が学びに繋がっていたと思います。

講座の中で印象に残っていることは何ですか?

ジョニーさんからのフィードバックで印象に残っているのは、「深める質問をする傾向がある」という言葉です。私はカウンセリングや心理学も学んでおり、どちらかというと分析的に考えてしまう傾向があります。「なるほど、確かに!」と思い、自分の癖にクライアントを巻き込むリスクに気が付かせてもらいました。このフィードバックは今でも役に立っていて、今でも自分をニュートラルに引き戻してくれる言葉です。

グループコーチングは、陽子さんご自身によるデモンストレーションが多かったので、大変印象に残っています。グループコーチングは1対1ではないので、デモンストレーションで一度に複数の参加者がクライアントになれます。それが目の前で行われるので陽子さんのスキルを体感できました。「今、クライアントに何が起きているのか」「コーチは何を感じているのか」を客観的に見ることができました。ライブ感が深い学びにつながりました。

コーチというのは完璧なモデルがいるわけではなく、それぞれが自分らしいコーチングを生み出していくものだと思います。ジョニーさん、陽子さんは、それぞれのよさを活かしてコーチングしておられる、それがとても伝わってくるのがこのスクールの大きな魅力だと思います。

なぜ弁護士という職業を持ちながら、コーチもしているのですか?

とてもよく聞かれます。自分の中では弁護士もコーチも同じで、ただ、目の前の人や社会の幸福(WELL-BEING)に貢献するため、最適なやり方を探して実行しているにすぎません。弁護士が偉いとかすごいということも全くありません。

「人に幸せになってもらいたい、そのために、人がどうしたら幸せを感じて生きていけるのかを理解し、自分の貢献の形を考える」ということだけが私の目的です。それが、あるときは弁護士、あるときはコーチという形をとったわけです。そのために、あるときは法律を学ぶし、あるときはコーチングや傾聴や心理学を学んできました。なぜならそれが必要だから、ということなのです。こういうわけなので、もしかしたら、また新しい貢献の方法があらわれる可能性もあります。

コーチングの知識が加わったことで弁護士としての変化はありましたか?

「人の話を聴く」ことが、コーチングの主要な側面だと思います。そして、弁護士として一番大変なのは、実は、顧客の話を聞くことです。新しい法律相談を1日4件もすると、とても疲れてぐったりすることがあります。このときに、話の聞き方を知っていると役に立ちます。

弁護士に相談に来られる方たちは、大きな問題を抱えている人が多く、時には壮絶な感情の炸裂もあります。弁護士としては、感情には耳を傾けず、法的な側面だけを見るという選択もあります。しかし、それだけでは、クライアントの気持ちが前に進まないこともあります。人は感情的な生き物なのです。私自身は、感情を置き去りにすることなく、クライアントに寄り添いたいと思っています。しかし、感情に巻き込まれてはいけません。そのためには「聞き方」はとても重要です。その聞き方をコーチングで身につけてからは、クライアントの感情の受け止めが以前よりやりやすくなったと思います。

また、コーチングを習得したことで、目の前の法的な問題の解決だけでなく、その人が「そのあとの人生をどう生きて行くか」という点に視点を持っていきやすくなりました。その方が結果として目の前の課題も前進しやすくなり、いい意味で問題の深刻さが小さくなる時があります。クライアントの視座が高くなるからです。それは結果的に、クライアントさんにとって良いものだと思っています。

「人に幸せになってもらいたい」という願いは、小さな時からあったのですか?

私は出雲大社の近くで生まれ、物心ついたときからお祈りするときに「世界中の人が幸せになるように」と祈っていました。

最初に心を学び始めたのは、どちらかというと自分の心のネガティブな部分を理解したいと思ったからでした。私自身、とても厳しい親の下で強く自己を否定されて育ったので、自己肯定感が自分の中に育つ余地がありませんでした。だから、認められない承認されない辛さや、自分と向き合えない、ポジティブになれないという辛さは痛いほど分かります。そのことも自分の今の仕事の原点になっていると思います。

その後、いろいろな経験が繋がり30歳を過ぎて弁護士を志しました。私は昔からケンカや紛争が本当に嫌いです。もちろん紛争を経てよい関係に進む場合もありますが、互いの存在を否定し合うような紛争からは何も生まれません。こんな紛争を解決したり、防いだりするのが弁護士ですし、紛争にならないようお互いを尊重する対話的なコミュニケーションを生み出すのがコーチングだと思っています。

今後、目指している世界や達成したいことはありますか?

コーチング的なコミュニケーションやマネジメントは、本当に優れたものだと思っているので、それが広まればいいなと素直に思っています。そうすれば、もっと互いに尊重し合ったり、成長し合うことができ、ひとりひとりが持っているDOTSがより輝くと思うんです。

私は、一人一人に自分の宇宙があると思っています。そこに無数の星があって、それがスティーブジョブズのスピーチにも表れるDOTSです。そのDOTSの一つ一つには、感情や資格、病気、経歴、髪の色なども含まれ、それ自体は、ニュートラル。いいも悪いも、正しいも悪いもなく、無色だと思います。そして、その人の人生の目的や強い思いが生まれたときに、それに反応するDOTSが光る、そうすると星座が生まれる。それが、その人の宇宙の中で輝いているイメージです。そして、それぞれの人が描く星座が共鳴し合い、繋がり合ってハーモニーになる。その星座を豊かに形作っていくことこそが、コーチング的なコミュニケーションだと思います。ちょっと気恥ずかしい表現ですが、それが、私の見たい美しい世界です。

その世界を見るために、私はパーソナルコーチングを提供したり、講座としてコーチングスキルを教えたりという活動をこれからもしていきたいと思っています。弁護士も続けていくつもりです。今後も自分のDOTSの力を借りて、専門職や経営層の人たちに特に関わっていくと思いますし、コーチング自体は、型はあっても正解はないものなので、ずっと学び続けていきたいですね。